発達障害

発達障害でも苦痛にならない勉強方法がある!教え方と親の向き合い方

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「発達障害を持つ我が子に適した勉強方法が分からない」**

「発達障害を持つ我が子とどう向き合えばいいのか分からない」

 

中学校教師生活の中で、このような葛藤を持つ親御様が大勢いらっしゃいました。

 

発達障害を持つお子様と真剣に向き合えば向き合うほど、見えてくる課題は多くなり、自分がどのようなサポートをお子様にすることができるのかは非常に難しい点です。

 

なぜならお子様への愛情とともに発達障害への専門的な知識についても知っておかなければならないからです。

 

教育のプロフェッショナルである私達も発達障害を持つお子様に適切な教育を提供するために毎日の研鑽を繰り返していました。

 

今回の記事では教師としての経験を交えながら、以下の点について詳しく解説をしていきます。

 

  • 発達障害のお子様が勉強についていけなくなる理由
  • 発達障害でも苦にならない勉強のコツ
  • 発達障害の子供を持つ親御様に心がけてほしいポイント
  • 発達障害のお子様に言わないほうがいい言葉

 

なぜ発達障害だと勉強についていけなくなるのか?

 

発達障害を抱える子供は学習についていけなくなることが多々あります。

 

発達障害にはいくつかの種類があり「勉強についていけなくなる」までの過程はそれぞれ違います。

 

こちらでは発達障害の子供が勉強についていけなくなる理由について、それぞれの発達障害の特徴とともに説明をしていきましょう。

 

発達障害には、大きく分けて以下の種類があります。

 

  • 学習障害
  • 自閉症スペクトラム
  • ADHD(注意欠陥多動性障害)

 

学習障害

学習障害とは、学習する際に必要な「読むこと」「書くこと」「計算すること」の能力が著しく低いという特徴を持つ発達障害です。

 

この学習障害には3つの分類があります。

 

  1. 読む事が苦手な学習障害を読字障害
  2. 書くことが苦手な発達障害を書字障害
  3. 計算することが苦手な学習障害を算数障害

 

あまり知られていないことですが、この学習障害を持つ人は、100人中4〜5人の割合で存在すると言われており、学校のクラスが40人学級だとすれば1〜2人いる計算になります。

 

この学習障害を持つ子供が勉強についていけなくなる理由は、学習障害であることに気づかれにくく、適切な学習支援が早期段階で行われないという点にあります。

 

例えば読字障害の子供であっても、文字を書いたり算数・数学の問題を解くことが容易にできる場合があります。

 

他にも書字障害でもすらすらと音読をしたり、暗算をしたりすることができる場合もあります。

 

一部の学習能力に課題があるのが学習障害の特徴なので、周囲からは「字が汚い生徒」や「計算が得意ではない生徒」と見なされることが多いのです。

 

また学習障害を持つ本人自身も、なぜ自分が字が読めないのか、書けないのか、計算できないのかということについての原因が分かりません。そして本人自身も「自分は苦手だから」ということで片付けてしまうことが多いのです。

 

学習障害に対してもちろん適切な学習サポートの方法はありますし、支援していくべきなのですが、何よりも学習障害であるということの発覚が遅れてしまうということに課題があります。

 

そして気づかれないままに勉強についていけなくなってしまうのです。

 


実際に私が学校で教えていた学習障害を持つ生徒は、小学校時代に学習障害であるということを認知されていませんでした。

そのため学習に大きな課題を抱えた状態で中学校に進学をしていました。

 

その生徒は書字障害を持っていたのですが周囲からは「字が汚い人」「丁寧に字を書いていないだけ」という認識を持たれていました。

 

本人としては丁寧に書いているつもりですが、それでも周囲と同じようには綺麗に書けません。

「自分は字を書くことが人より下手なんだ」という思いを小学校の頃から長年抱いていました。

 

このように「周囲よりも勉強に関する何かができないのだ」という気持ちを、学習障害を持つお子様は勉強の度に感じています。

 

そんな環境が6年以上も続いていたその生徒は明らかに学習への自信を失っており、学習意欲の低下も見られました。

 

「自分は勉強ができない」と長年の経験から心の中に深く刻み込まれてしまっていたのです。このような状態を学習性無力感と言います。

 

学習性無力感を抱くのは何も学習障害のお子様だけではありませんが、自分の持つ発達障害に気づきにくいほど「ただ自分の能力が低いだけだ」と自己否定をしやすいのです。そのため学習障害と学習性無力感は深い繋がりがあります。

 

一部の学習能力に課題を抱えているということと、学習意欲が低下しやすいということで学習障害を持つお子様は学習についていけなくなることが多いのです。

 

自閉症スペクトラム

自閉症スペクトラムには以下のような特徴が見られます。

 

  • 人とのコミュニケーションを取ることが苦手
  • こだわり傾向が強く、強固なルーティーンを持っている
  • 臨機応変な対応をすることが苦手

 

このような特性から大勢の人がいる授業に入ること自体が苦手であったり、自分のペースで作業を進めることができない授業についていけなくなる場合があります。

 

特に中学校段階に上がると教科ごとに授業を行う教師が変わるため、毎時間授業の進め方やルールなどが違うことが多いです。

 

そうなると毎時間ごとに臨機応変に対応しなければならなくなり、自閉症スペクトラムを抱える子供にとってはそれがかなりの負担になります。

 

柔軟に対応することが苦手な自閉症スペクトラムを持つお子様の場合には、一定の流れで展開される授業などの方が向いているのです。

 

 

ADHD(注意欠陥多動性障害)

ADHDの特徴としては、

 

  • 一つのことに注意が向けられない
  • 一つの場所にじっとしていられない
  • 物忘れや不注意が多い
  • 自分の気持ちをコントロールすることが苦手

 

といった点が挙げられます。

 

基本的に学校の授業は座学で教えられることとなります。

そのためADHDを持つ生徒が苦手である「じっと一つのことを座って聞く」ということをしなければならないのです。

 

特に小学校から中学校、高校と上がるにつれて、活動量が少なく、座って聴く授業が増えていきます。

 

当然、授業に集中することができなければ学習内容を理解することはできません。また学習内容が理解できなければ成績が下がり学習意欲も低下していきます。

 

このような流れでADHDを持つ子供が勉強についていけなくなるのです。

 


私はADHDと診断を受けた生徒の担任を務めたことがありました。

 

中学生に進学した時から授業から抜け出しをしたり、感情的に手を出してしまう生徒でした。

 

しかし進学当時は知能検査(WISCと呼ばれるものです)などを受けたこともなく、ADHDである認識を周囲からされておりませんでした。そのため「課題のある生徒」として捉えられていたのです。

 

ある日、この生徒と話し合いをする機会がありました。

 

その時に私はこの生徒と「なぜ授業を抜け出すのか」「なぜ手を出してしまうのか」というところに焦点を当てて会話をしました。

 

すると彼は、

 

「授業に1時間も座ってられない」

「よく分からないけれどムカついたら手を出してしまう」

 

といったことを答えました。

 

発達障害を抱える生徒が非行に走ったり、不登校になったりするということは多々あることです。

これを二次障害と呼びます。

 

自身の特性(発達障害)が要因となって環境に適応できず、周囲から浮いてしまったり、問題行動に走ってしまうということは二次障害の中の一つに数えられます。

 

ADHDを抱えるその生徒は周囲が考えている以上に、「授業を1時間座って受けること」や「自分の気持ちをコントロールする」ということに困難さを覚えているのです。

 

環境に適応することができず、しかし自分で解決策を見つけることもできず、闇雲に行動した結果が非行や抜け出しなのでした。

 

発達障害であるということが分かっていれば適切に学習支援を受けることができますが、その生徒自身の発達障害に周囲も本人も気づいていないという状況のため、

 

「なんで1時間も授業を受けられないんだ」

「サボらずにしっかりとしなさい」

「暴力や暴言をしてはいけません」

 

と、その生徒にとっては的外れな声かけばかりがなされてきていたのです。それではその生徒自身の特性に目を向けていないことになります。

 

学習支援が適切に行わなければ環境に適応することは難しくなります。

そして学習支援が行われなければ授業に入るということは難しく、結果として授業について行けないどころか抜け出してしまったり、不登校となってしまうケースに繋がる場合もあります。

 

中学2年生の時にその生徒は、医療機関との連携のもと知能検査を受けることになりました。

 

すぐに生活が改善することはありませんが、少しずつこれまでの学習の遅れを取り戻していくことができました。

 

そこまで検査が遅れた要因としては、その生徒のご家庭が躊躇したということでした。

 

「発達障害であるということが自分で分かったらショックを受けるのではないか」

という懸念を抱かれていたのです。

 

そのご家庭の気持ちを尊重しつつも、その生徒の問題行動は性格的な部分ではなく、発達障害から来ている可能性があるということや、原因が分かれば適切に支援を行うことができるということを伝え続け、最終的には本人の意思も含めて検査を行うことになりました。

 

その生徒が検査結果からADHDであるという診断を受けた際に言ったことが非常に印象的です。

 

「俺、そうやったんか。ちょっとホッとしたわ」

 

と自身の検査結果を受け止めることができたばかりか、これまで感じてきた苦痛などの原因が分かったことに安堵していたのです。

 

この言葉から分かることは、

 

  • 発達障害によって学習に適応できていない場合がある
  • 学習についていけないことに対する不安を一番本人が感じている
  • 原因が分かることで自分のことを理解して受け止められる可能性がある

 

発達障害であるということを知らずにその生徒は苦痛にもがいていたのです。

 

原因の分からない苦痛を抱え続けるのではなく、原因をはっきりとさせたほうが安心する場合もあるということがはっきりと分かった経験でした。

 

苦にならない勉強方法!教え方のコツは?

次に発達障害のお子様でも苦痛を感じにくい勉強方法や学習支援について解説をしていきます。

 

以下の項目について見ていきましょう。

 

  • 時間の管理

    • 「何分間勉強する」の約束を徹底
    • 予定は変更しない
  • デジタル学習や塾の事

    • デジタル教材は発達障害を持つお子様に向いている
    • 塾は発達障害に理解があるかがポイント
  • 教材

    • 発達障害に合わせた教材を使用する
  • 説明の仕方

    • 「ゆっくり」「具体的に」「指示は一つ」を心がける
    • 勉強のルールやマニュアルを定めてあげることがおすすめ
    • 学習することの意味を一緒に考えていく
  • 一緒に隣でついてあげるべきか?

    • 子供の特性による
    • 褒めることや声かけが大切

 

 

時間の管理

最初に時間の管理について詳しく見ていきましょう。

「何分間勉強する」の約束を徹底

最初にしっかりと学習時間を約束することで、学習に対して苦手意識を持つ発達障害のお子様が、勉強に向かいやすくなります。

 

ここで注意すべきなのは一方的に決めるのではなくて、子供との話し合いのもとで決めるということです。

 

親子両方が納得する勉強時間のルールを定めることで、そのルールに従って勉強を頑張ることができるようになります。

 


私が担任していた前述のADHDの生徒も、放課後に30分の勉強を約束して毎日行なっていました。

 

「30分間勉強をする」という約束は言い換えれば「30分間勉強すれば、後は勉強しなくていい」という解釈にもなります。

 

勉強に対して意欲の高い子供の場合には、自主的に勉強を進めることができます。

 

しかし学習意欲が低下している子供の場合には、時間ルールを定めてノルマとして設定してあげる方が取り組みやすいのです。

 

実は勉強をしていなくて一番不安を感じているのはお子様自身であったりします。

 

「勉強はしたくない。だけど進路が不安だ。」

 

という思いは誰しも持っているものなのです。

 

そこで時間ルールを設け、ノルマを作ってあげることで毎日勉強をすることのきっかけにもなりますし、安心材料にもなるのです。

 

あくまで「勉強することはお子様のため」というスタンスに立ちながら、お子様が勉強をするきっかけとしての学習時間設定をすれば無理なく毎日継続的に学習を進めることができるはずです。

 

予定は変更しない

先ほどの「時間ルール」もそうなのですが、急に勉強時間を増やしたり、減らしたりといったようなことはできるだけ避けた方が良いです。

 

自閉症スペクトラムの特徴で記載しましたが、発達障害を持つお子様は臨機応変な対応や変則的な学習リズムを好まないことが多いのです。

 

「できるだけ毎日決まった時間に決まったことをする」

 

ということが苦にならない学習の秘訣です。

 


この「できるだけ毎日決まった時間に決まったことをする」ということが学校現場では非常に大切にされています。

 

発達障害の生徒が在籍する特別支援学級でも避難訓練や行事、もしくは授業変更など、普段の日程とはイレギュラーな予定が入る場合があります。

 

これらの特殊な予定が入る場合には教師が前日・当日朝にその予定を発達障害を持つ生徒に伝えるということを繰り返します。

 

このように予定変更がある場合には前もって伝えるということを繰り返し重ねていき、順応できるように指導を行うのです。重度の発達障害を持つ生徒の場合には急な予定変更でパニックとなることもあるためです。

 

一度予定が変わってしまえば、再び元の生活リズムに順応することにも時間を要することとなります。このようにならないように基本的には予定を変えないようにすることが必要です。

 

毎日同じ学習環境を構築することで、発達障害を持つお子様は安心して学習に取り組むことができるようになります。

 

デジタル学習や塾の事

次に発達障害を持つお子様の学習支援を行うためのデジタル学習や塾について見ていきましょう。

 

デジタル教材は発達障害を持つお子様に向いている

スマホやタブレット、パソコンなどを使って学習をするスタイルは発達障害を持つお子様に適しています。

 

その理由としてはデジタル教材には、

 

  • 継続して行える仕組み
  • 楽しく取り組めるゲーム感覚の問題
  • 音声・視覚(イラストや写真)支援が充実

 

などといった学習支援要素がたくさん盛り込まれている場合が多いからです。

 

「勉強がつまらない」「苦痛だ」と感じる理由としては

 

  • 学習内容に興味がない
  • 勉強がわからない
  • 勉強よりも興味がある対象がある

 

の3点が多いです。

 

しかし、

 

  • 楽しく取り組めるゲーム感覚の問題があれば興味が持てる
  • 学習支援要素があることでわかりやすい

 

といったデジタル学習の特徴を生かすことで、勉強に積極的に取り組むことができる場合もあります。

 

塾は発達障害に理解があるかがポイント

「勉強ができないから塾でサポートをする」というのは非常にシンプルかつ明快なアイディアです。

 

しかしその塾が発達障害に理解があるかどうかは非常に重要なポイントです。

 

発達障害を持つお子様が合わない塾の特徴としては、

 

  • 学校と同じく大人数・一斉講義式で行われる
  • 教科書の解説がメイン
  • 基礎的学力補強ではなく、応用力の向上が目的

 

などの点が挙げられます。

 

このような塾の場合には学校で授業を受けることと同じようにただ学習に対して苦痛を覚えるだけの場合があります。

 

また教科書の解説をするだけだったり、応用力を付けるための学習の場合には、基礎的学力が身についていないお子様にはそぐわないです。

 

 

逆に発達障害を持つお子様が合う塾の特徴としては、

 

  • マンツーマンでお子様のペースに合わせて教えてくれる
  • 視覚支援・聴覚支援教材なども用いてくれる
  • 発達障害に対して理解のある、もしくは専門的な指導をしてくれる

 

などです。

 

「取り出し授業」「サポート教室」などという名目で、学校でも少人数、もしくはマンツーマンで発達障害の生徒を教えるシステムがあるところがあります。

 

マンツーマンで勉強を教えると興味深そうに話を聞いたり、自分なりに分からないところを質問したりできるために学習意欲が高まる可能性があります。

 

大人数だと分からないところをなかなか聞くことができず、そのため学習に遅れが生まれ、学習意欲が下がることがあります。

 

マンツーマンでの学習ならば自分がわからないところを自分のペースで尋ねることができるため、勉強を頑張ることができるようになります。

 

また視覚支援や聴覚支援の教材を用いる塾もあります。

例えば読字障害を持つ生徒に対しては全文字ルビ付きの教科書などを用いて指導を行う塾などがそれに当たります。

 

また最近では発達障害への理解がかなり浸透してきており、発達障害を持つ子供への学習支援などを専門的に行ってくれるところもあります。

 

このようにお子様の実態に合わせた学習支援を行う塾ならば、勉強を頑張ることができる可能性があります。

 

教材

次に発達障害を持つ子供の勉強を支援する教材などについて紹介します。

 

発達障害に合わせた教材を使用する

発達障害を支援することができる教材というのは様々にあります。

例えば、読字障害を持つお子様に対してルビ付きの解説書を用いて授業を行うなど。

お子様に合った教材を用いることでストレスなく学習を進めることができるようになります。

説明の仕方

学習をする際には説明の仕方について少し気をつけることで、発達障害を持つお子様に伝わりやすくなります。

 

「ゆっくり」「具体的に」「指示は一つ」を心がける

基本的に、

 

  • ゆっくりと喋る
  • 具体的に指示する
  • 指示内容は一つ

 

ということを意識することで学習でも学習以外の生活でも、お子様が理解をしやすくなります。

 

例えば、親子で取り決めた勉強時間になっているのにまだお子様が勉強を始めていない時には

 

  1. 「勉強をする時間です」
  2. 「椅子に座りましょう」
  3. 「〇〇をしましょう」

 

と子供がどういう順序で勉強に向かえばいいのかを順を追って具体的に、一つずつ指示を出してあげることが有効です。

 

逆に発達障害のお子様に適さない指示や説明としては、

 

  • 静かにしなさい
  • ちゃんとしなさい
  • 座って6時まで勉強をしなさい

 

といったものです。

 

「静かにしなさい」はどれくらいの声のボリュームにすればいいのかということが不明瞭なため、わかりづらいということがあります。

 

私が勤務していた学校では、声のボリューム数値表を活用していました。

 

テレビの音量のように声のボリューム数値を「0〜5」まで割り振り、その時々にふさわしい数値を指差して教えてあげるといったものです。

 

「静かにしなさい」だけでは具体的に伝わらないため、具体的な声のボリュームの数値を視覚的に伝えてあげることで子供がイメージしやすいというメリットがあります。

 

 

「ちゃんとしなさい」は、"ちゃんとしている"という状態が、親子の間で共通認識となってていることが少ないため、子供には分かりづらいのです。

 

親としては、

 

  • 「イスに座って静かに勉強をしている」
  • 「行儀よくご飯を食べている」
  • 「部屋を散らかさずに綺麗に片付けられている」

 

といった状態を「ちゃんとしている」と定義して、子供に「ちゃんとしなさい」と指示しているはずです。

 

しかし上記のように子供が具体的に「ちゃんとしている」イメージを持てているとは限りません。そこで段階を踏み、一つひとつ取るべき行動を指示してあげる必要があるのです。

 

また「座って6時まで勉強しなさい」は複数の指示が混じっているため、混乱する場合があります。

 

指示をする時には情報は必ず一つずつにしてみてください。お子様の説明・指示の理解度が向上するはずです。

 

勉強のルールやマニュアルを定めてあげることがおすすめ

勉強を進めていく上で、上記の時間設定もそうですがルールやマニュアルを決めてあげることがおすすめです。

 

ルール・マニュアルを細かく設定しておいてあげることで、それに従って学習を進めやすくなります。

 

例えば、

 

  • 一日◯ページの問題集をする
  • 一日◯分間の勉強をする
  • 宿題を必ず家で終わらせる

 

というノルマ的な条件や、

 

  • 分からない問題は親に聞いていい
  • 丸付けは親に頼ってもいい

 

などといったサポートについてなどがそれに当たります。

 

お子様がスムーズに勉強を進めていくことができるように、親子で相談をしながらルールやマニュアルを決めていってくことをおすすめします。

 

学習することの意味を一緒に考えていく

「なぜ勉強をするのか」ということを一緒に考えていくことも大切です。

 

単純に「勉強をしなさい」では押し付けてしまっているだけなので、継続的な学習をすることはできません。

 

勉強をする意味として、子供が納得をする理由は「知的好奇心」を満たすためです。

興味があることをとことん追求するということが勉強の本質のはずです。

 

しかし受験などが前提としてある現代では勉強をすることの意味を「進路のため」「受験のため」と限定してしまいます。

 

それでは「義務としての勉強」にしかならず、むしろ子供の学習への興味・関心を削ぐことになってしまいます。

 

ADHDや自閉症スペクトラムの子供は、自身の関心があることに対して強い集中力を発揮する力を持っていることが多いです。

 

つまり興味があることをとことん追求する能力を持っているのです。その力が発揮できるように、

 

  • 子供が興味を持てる物事を一緒に探す
  • 学習に対して「楽しい」「もっと学びたい」という知的好奇心を湧き立たせる工夫
  • 勉強することの価値を感じさせる工夫

 

を親御様が一緒にしてあげることが大切です。

 

一緒に隣でついてあげるべきか?

最後に一緒に勉強をするべきなのかどうかについて見ていきましょう。

 

子供の特性による

結論から言ってしまえば、子供によると言えます。以下のようにいくつかのパターンを試しながら、最もお子様が勉強に捗っている環境を選びましょう。

 

  • 隣で勉強をするところを見ている
  • 一緒の部屋で別の作業をしながら様子を伺う
  • 隣の部屋でたまに様子を伺う
  • 別の部屋で全く違う作業をしている

 

上記のパターンの中で最も子供が勉強に集中できているのがどれなのかを伺ってみたり、子供に尋ねてみたりすると良いです。

 

子供によっては、

 

  • 真隣にいるのはプレッシャーがかかるから嫌だけれど、同じ部屋にはいてほしい
  • 気が散るから別の部屋にいてくれても構わない

 

といったように勉強に安心して集中できる環境が異なります。お子様が集中して勉強をすることができる環境を模索していきましょう。

 

褒めることや声かけが大切

特に学力が低い発達障害のお子様は学習に対する自信や意欲が低下していることが多いです。

 

勉強面に対して褒められたり、応援されたりという経験が少ないからです。

そのような状況でいきなり勉強に前向きになって頑張るということは難しいと言えるでしょう。

 

そこでまず親御様に初めていただきたいのは、学習に対してとにかく褒める・声かけするということです。

 

なぜ学力の低い子供が褒められないかというと、大人数が一斉に勉強をする学校や塾では、学力が相対的に見られる傾向にあるからです。

 

周りと比べて学習理解度が高いのか低いのかという点で評価をされてしまうため、褒められることが少なくなってしまいます。

 

そこでご家庭では誰かと比べてではなくお子様自身の伸び代に目を向けて評価をしていくことで学習への自信や意欲を向上させることを目指します。

 

周囲と比較してできるかできないかではなく、

 

  • お子様自身の学力が伸びていること
  • お子様自身が頑張って勉強に取り組んでいること
  • お子様が定めたルールに従って勉強をしていること
  • 普段座って勉強できなかったお子様が座るようになったこと

 

などどれだけ小さな進歩にも目を向けて声掛けをしていくことで、学習意欲を向上させることができます。

 

また、逆にその場でいけないことを注意してあげるということも大切です。

 

お子様の良い行動も悪い行動もその場できっちりと評価をしてあげるということを意識することで、お子様の行動がかなり改善されていきます。

 

 

親が心がけておきたい事

次に発達障害を抱える子供の親御様に心がけておいてほしいことについて解説をしていきます。

 

以下の点について見ていきましょう。

 

  • 得意・不得意を見極める
  • 発達障害についての情報を自分なりに集める
  • 子供一人一人に適切な勉強方法を模索する
  • 楽しく勉強をすることができる方法を模索する
  • できないことよりもできることに目を向ける
  • その場で子供の行動をすぐに評価する
  • 周囲のサポートを受ける
  • スモールステップ

 

得意・不得意を見極める

発達障害を持つ子供の得意なことと不得意なことを見極めるということが大切です。

 

学校教育では、個性を伸ばす、得意を伸ばすということを掲げつつも、どうしても子供を平均的に成長させるということが前提として教育が行われています。

しかし得意なことと不得意なことの差が大きい発達障害を持つ子供の場合にはそのように能力の平均化を測ることが難しいです。

 

そこで得意なことと不得意なことをしっかりと見極め、得意なことを伸ばしていくような学習支援を行うことが大切です。

 

例えばADHDを持つ子供は、一般的に集中力が低いと言われていますがその捉えは適切ではありません。

 

ADHDを持つ子供は集中力が低いというよりは、興味関心がある方向にすぐに集中を向ける傾向にあるといえます。そして興味関心がある分野に関しては集中をすることができるのです。

 

このようにADHDを持つ人や自閉症スペクトラムを持つ人は、過集中をする力があると言われています。

 

お子様の興味関心が強く向く方向を分析しながら、それを示してあげることで高い集中力を発揮して成果を出すことができます。

 

一方で不得意なことにも目を向け、適切に支援をすることも大切です。

 

ADHDを持つお子様は上記の通り、気になる物事に対してすぐに関心を向けてしまうという傾向にあります。

 

そこで学習中は勉強のこと以外に興味が向かないように工夫をしてあげることなどが支援に当たります。

 

例えば、

 

  • 机を部屋の三角コーナーに配置して、視界に壁以外が入らないようにする
  • ノイズキャンセリング機能付きのヘッドホンなどをつけて、雑音に気が散らないようにする

 

といった工夫をしてあげることで学習に集中することができるようになります。

 

 

発達障害についての情報を自分なりに集める

ご家庭で発達障害についての情報をインターネットや本などで集め、理解を深めるということも大切です。

 

私が教員をしている時もできるだけ発達障害への理解を深めるために情報を収集していました。

 

情報収拾をすることの価値は、発達障害を持つ子供の世界を知ることができるという点にあります。

 

発達障害を持つ子供が見ている、感じている世界を知ることができれば、どのような支援をすることで子供が学習や生活がしやすくなるのかを理解することができます。

 

例えば私の学校ではADHDの子供への学習支援として、黒板の周りに掲示物を貼ることを辞めました。

 

以前は学級目標や給食の献立表、掃除当番表などを貼っていました。

 

しかしADHDについて理解を深めていくと、授業の際に黒板以外に目の行く物があるのは学習を阻害する原因となるのではないかと考えるようになりました。

 

そこで黒板の周囲には時計やもともと設置されていたスピーカー以外は設置をしないということにしたのです。

 

このように工夫をした結果、それまで集中力散漫だった生徒の授業への集中度が増すようになりました。これは全校的に取り組まれましたが、多くの教師から効果があったことが報告されています。

 

他にも1日の流れを細かくホワイトボードに書き、朝しっかりと確認をしてあげることでそれをマニュアルにして自閉症を持つ生徒が生活リズムを確立することができました。

 

発達障害の特性を理解することで、日常の中にどのような工夫をすれば支援をすることができるのかについて考えていくことができるのです。

 

子供一人一人に適切な勉強方法を模索する

上記でも紹介しましたが、近年発達障害を持つ子供に向けた勉強法や教材が充実してきました。

 

ご家庭で勉強をする際には、持っている発達障害に合わせて勉強法などを選定してあげることを意識していただきたいです。

 

例えば読字障害を持つお子様には以下のような勉強法が適しています。

 

  • 全文字ルビ付きの問題集を使用する
  • 文章を単語や文節ごとに区切って、言葉のまとまりを理解する

 

書字障害の場合には、

 

  • なぞり書き帳を使用する
  • 編と作りを別々に学習する

 

などといった勉強法があります。

 

特に学習障害の場合には一部の学習行動に課題を持つということなので、その課題を克服していくことができるように適切な勉強法をお子様と模索していくということが大切です。

 

楽しく勉強をすることができる方法を模索する

勉強に対して自信や意欲がないお子様の場合には、楽しく勉強をすることができる方法を模索することを意識してください。

 

ただ問題集を使えば学力が向上するというものではなく、楽しんで長期的に学習ができる方法を考えていくことが大切です。

 

ご家庭で勉強をする際におすすめなのはタブレットやパソコンでできる電子教材です。

 

電子学習のメリットとしては、

 

  • ゲーム感覚で取り組める
  • わかりやすく授業を行ってくれる
  • 同じところを何度も繰り返して聞くことができる
  • パソコンで取り組むことができるため、学習へのハードルが下がる

 

などといった点が挙げられます。

 

一概にどのお子様も電子学習に適しているということはできないのですが、学校での勉強に抵抗感がある場合には問題集など紙媒体の教材を使用するよりもパソコンやタブレットを使用して勉強する方がやりやすいという傾向があります。

 

 

できないことよりもできることに目を向ける

できないことよりもできることに目を向けて学習支援をするということが大切です。

 

上記にもありますが発達障害を持ってる子様はできることができないことの差が非常に激しい場合があります。

 

そのため、できないことを平均的にできるように、もしくは平均以上にできるように伸ばすということは、お子様にとっても親御様にとっても非常に困難なことです。

 

それよりもお子様ができることにしっかりと目を向けてその点を伸ばしてあげる方がお子様が学習への自信を持ちやすく、得意な部分を伸ばしていくことが容易であるといえます。

 

 

その場で子供の行動をすぐに評価する

子供が良いことをした場合はすぐに褒め、適切ではない行動した場合にはすぐにそれを指摘するということを意識してください。

 

特に大切なのは良いことをしたときにすぐに褒めるということです。

 

「良いことをすると褒められる」ということを子供感覚的に覚えることができれば、適切な行動を取りやすくなります。

 

これは何も発達障害のお子様に限定することでは無いですが、適切ではない行動を取りやすい子供に対しては非常に効果的な指導方法です。

 

適切でない行動を見逃してしまうと、子供とっては「いけないことをしてもいいんだ」「頑張らなくてもいいんだ」といったようなことを考えてしまうようになる可能性があります。

 

またそれらの結果から勉強に対して真剣に取り組んでいくという気持ちを持つことができなくなる可能性もあります。

 

このような気持ちを持たないようにするためにも、正しいことを褒め、不適切な行動は指摘をするということを意識して行きましょう。

 

周囲のサポートを受ける

学校などの教育機関や医療機関などを含めて周囲のサポートを受けるということを意識してください。

 

例えば上記で紹介した学習についてのルールやマニュアルなどは、学校と家庭で大きく異なれば子供にとっては適応しにくくなるかもしれません。

 

そのようなことを避けるために、学校での学習ルールやマニュアルをもとにご家庭でもルールやマニュアルを作るといったことがおすすめです。

 

例えば三者面談などの際に、担任の教師と相談をしながらご家庭での学習ルールをお子様を交えながら考えていくことでよりよいルールを考えていくことができるはずです。

 

他にも発達障害の専門機関などに支援要請をしながら、学習支援や生活支援を行っていくことでお子様が安心して生活をすることができる環境を作っていくことができるはずです。

 

スモールステップ

学習についてはスモールステップを意識してください。

 

スモールステップとはその名前の通り、小さな段階を少しずつ進んで成長していくということです。

 

一気に学習欲や学力が向上するという事はなかなかありません。

 

しかし小さな成長に目を向けて評価をしてあげながら学習を続けていくことで、必ず前に進んでいくことができます。

 

成長を急がずに長い目で見ながら小さな段差を少しずつクリアしていくということを意識することで、お子様は安心して学習に取り組むことができるようになります。

 

 

発達障害の子に言ってはいけない言葉は?

では最後に発達障害のお子様に言ってはいけない言葉を見ていきます。

 

以下のような言葉を避けるようにしましょう。

 

  • 何でできないの?
  • (他の子供と比べて)もっと頑張りなさい
  • いい加減にしなさい・何回も言わせないで
  • 我慢しなさい
  • 勉強したら〇〇(報酬)をあげる

 

また言ってはいけない理由や言い換え表現などについて見ていきましょう。

 

何でできないの?

できないことに対しての不安感やできるようになりたいという気持ちを一番感じているのはお子様本人です。

 

「何でできないの?」という言葉かけは、できなくて困っている子供に対しては冷たく、突き放すような言葉として聞こえてしまう場合があります。

 

ただ親御様が「何でできないの?」と聞くのは「できるようになってほしい」という気持ちの裏返しのはずです。その気持ちは間違っていることではありません。

 

そこで、その気持ちを別の表現に言い換え、

 

  • できるようになるまで一緒に頑張ろうね
  • 分からないところは一緒に考えてみようね
  • できるようになることを応援しているよ

 

といった言葉がけにすることで子供心にも温かく、寄り添っているように聞こえるはずです。

 

(他の子供と比べて)もっと頑張りなさい

「もっと頑張りなさい」という言葉がけも子供の頑張ろうとする気持ちを挫いてしまいます。

 

多くの発達障害を持つ子供は学習に対して苦手意識を持っており、机に向かうという段階で「頑張っている」のです。

 

そのような状況下で「もっと頑張りなさい」という声かけをしてしまうと、子供としては「今でも頑張っているのに、まだ頑張らないといけないの?」と感じてしまいます。

 

しかし親心として「もっと学力を伸ばして進路につなげられるようにしてほしい」と願う気持ちも当然あります。

 

その「もっと頑張ってほしい」という気持ちを伝えるためには、

 

  • (具体的に頑張っている行動を評価して)よく頑張っているね。
  • 何か手伝えることはある?

 

と伝えることが効果的なのです。

 

「子供はすでに頑張っている」という前提を持った上で声かけをしてあげることで、子供が自発的に「もっと頑張ろう」という気持ちを持つことができるのです。

 

また親からの支援はいつでもできるということを子供に伝えることで、安心して学習に取り組むことができるようになります。

 

逆に言えば周りからどれだけ発破をかけるても、本人がその気にならなければ頑張ることはできません。

 

上手に子供の頑張ろうとする気持ちを引き出せるような言葉がけを意識していきましょう。

 

いい加減にしなさい・何回も言わせないで

お子様が何度言っても不適切な行動を正さない時にはついつい「いい加減にしなさい」「何回も言わせないで」と言ってしまいそうになります。

 

しかし「いい加減にしなさい」「何回も言わせないで」という言葉には具体的にどう行動を正せばいいのかを指し示す内容がありません。

 

上記でも紹介した通り、子供に指示・説明をする際には

 

「ゆっくり」「具体的に」「指示は一つ」

 

を心がけるだけで伝わり方が変わります。

 

例えばいつまでも遊んで勉強に取り組まないのであれば、「いい加減にしなさい」ではなく、

 

  • 「遊びをやめます」
  • 「勉強机の椅子に座ります」
  • 「問題集を始めます」

 

といったようにスモールステップの指示で行動を一つ一つ、正しい方向に導いてあげることが大切なのです。

 

我慢しなさい

「我慢しなさい」という言葉は特にこだわり傾向の強い自閉症スペクトラムのお子様や、多動傾向のあるADHDのお子様には押さえつけるような言葉に聞こえてしまいます。

 

どうしてもお子様にその行動をやめてほしい時に「我慢しなさい」と一方的に伝えることで、自分の意思は抑えなければならないということを学習してしまったり、こだわりを持つことを否定してしまい精神状態が不安定になることがあります。

 

ただ親御様としても、どうしても特定の行動をやめてほしいという時があるはずです。

 

そのような時には一方的に親御様の「我慢してほしい」ということを伝えるだけでなく、まずは「なぜ子供は〇〇がしたいのか」を聞いてあげましょう。

 

このように理由を尋ねることで、子供は自分の意思が尊重されていると感じ、気持ちを無理に抑圧されているような感覚が薄らぎます。

 

その理由や気持ちを汲み取った上でそれでも我慢をして欲しければ、親御様なりに我慢してほしい理由を提案するという姿勢で伝えてみましょう。

 

例えば、

 

〇〇の気持ちは分かったよ。だけど私は〜〜〜と考えているから、できればやめてほしいな。

 

といった伝え方だとお子様からしてもソフトに聞こえます。

 

あくまでお子様の行動や思考を押さえつけない。しかし、親御様の気持ちも伝えるということが大切です。

 

勉強したら〇〇(報酬)をあげる

言葉として褒めてあげることは大切なのですが、できたことに対して何か物をあげたり、報酬をほのめかして頑張る気持ちを引き出すのはよくありません。

 

このような声かけを続けると、報酬がなければ頑張らないという気持ちが育ってしまうからです。

 

このような方法で子供の行動に動機を与えることは、即効性はあるのですが継続性はありません。

 

それよりも子供の知的好奇心をくすぐるような工夫で、自発的に学習に取り組むように模索していくことを推奨します。

 

 

まとめ 「困った」子供は「困っている」

教育現場には、「困った」子供は「困っている」という言葉があります。

 

これは周囲が困るような行動を起こす子供こそ、本人が一番困っているという意味の言葉です。

 

これは本当にその通りで、発達障害を持ったことで環境に適応できず二次障害として不登校や非行に走る生徒をたくさん見てきました。

 

そしてそれらの子供が早期段階で発達障害に気づき、適切な支援を与えることができれば明らかに現状は変わっていたはずなのです。

 

発達障害を抱える子供は、自分の持つ特性に最も困っています。

その「困り感」に対して学習支援を行なっていくことが学校や周囲の大人たちのできることです。

 

今回の記事でご紹介した勉強方法などを参考にしながら、発達障害の子供への学習支援をぜひ取り入れていってくださいね。

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