不登校

不登校で勉強しないとどうなる?親はどうするべき?中学教師が伝えたい事

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「不登校の子どもが全く勉強しない」**

「どのように勉強に導いてあげればいいの?」

「このままでは将来、生きていけないのでは?」

 

不登校で勉強をしない子どもを心配している親御様はたくさんおられることだと思います。

 

確かに子どもの将来のことを思うと「放っておけない」「なんとかしてやりたい」という気持ちを持つことでしょう。

 

今回はそのような親御様に向けて、

  • 不登校で勉強をしないとどうなるのか
  • 親御様は不登校の子どもにどのように向き合えばいいのか

について中学校教員といて勤めていた経験をもとに解説をしていきます。

 

この記事を読めば、親御様が今、不登校で勉強をしていない子どもに抱いている不安を解消することができるはずです。

 

不登校で勉強しないと困ること

それではまず最初に不登校で勉強をしないままだと困ることについて紹介をしていきましょう。

 

学校の授業についていけなくなる

不登校で勉強をしない場合に困ることの1つは、学校の授業に再び戻った際にも理解することがすぐにはできないということです。

 

学校の授業内容は、積み木のように積み重ねられて理解ができるようになっているため、1期間の学習内容が抜けている場合にはまず学習内容が抜けている部分を補わなければなりません。

 

不登校となり勉強をしない期間が長ければ長いほど、習っていない学習の範囲は広くなっていくものです。

 

不登校生の多くが3年生の夏・秋頃から学校に通い始めたり、勉強を独自でし始めるといった傾向にあります。

 

これは自分なりに進路のことを考えて勉強し始めるのですが、やはり長期間勉強をしていなければ、

  • どこから勉強すればいいのか
  • どれだけの時間を勉強に費やせば不登校期間を補えるのか
  • 分からない問題をどのように乗り越えればいいのか

などについてはなかなか自分で理解することができません。

 

不登校生徒が勉強をしたいと感じた際には周囲のサポートが必須なのですが、そのサインをうまく出せなければサポートを受けることもできません。

 

結果としてせっかく本人が勉強をする気になっても学校の勉強についていけずに自信喪失をして諦めてしまう場合もあります。

 

 

進路の幅が狭まる可能性がある

勉強をしない不登校期間が長ければ長いほど学校の成績は落ちていってしまいます。

 

成績など気にしなくていいという意見もあるのですが、私はそうは思いません。

 

もちろん中学校生活だけを見るのであれば成績はそこまで大切なものではないのですが、もし本人が将来を見据えて進学を考えたときには成績が大切になることが多いのです。

 

定時制高校や私立高校の専門学科などの場合には、成績が重視されない場合もあるのですが、本人が公立高校の普通科に進みたいもしくは私立高校の普通科に進みたいなどと考えた際には、中学校の成績はとても大切なものとなります。

 

一部都道府県では受験の際のシステムが変わる場合もありますが、一般的な受験時の成績評価についてまずはお話をさせてください。

公立高校・私立高校で合否判定をする際の評価基準

公立高校・私立高校で合否判定をする際には以下の項目が評価基準となります。

 

  1. 受験当日の筆記試験の点数
  2. 受験当日の面接試験の点数
  3. 中学校の成績
  4. 中学校の出席日数

 

受験当日の筆記試験の点数はそのままの意味で、受験科目でどれだけの点数を取れたかということです。

 

一般的に考えて、受験当日の筆記試験が良ければ合格をもらえると思われていることが多いのですがそのようなことはありません。

 

高校受験をする際には、同じくらいの配分で中学校の成績が評価に入る場合があります。それも成績がそのままスコアとなって1年生1学期からの成績の合計が受験生の持ち点となるのです。

 

例えば国語の成績が5の場合は5点加算されるといったような成績評価のシステムとなっています。

意外に勉強の遅れは取り戻せるが…進路の壁となるもの

これまで多くの不登校生徒を見てきました。

実は、勉強をほとんどしてこなかった不登校生徒でも、勉強の遅れを取り戻すのは意外とできる人が多いという印象でした。

 

受験が差し迫っていたり、勉強の必要性を感じて再登校を始めたからこそ、学習効果も高いのでしょう。

 

しかしこのような不登校生徒でも希望の進路を選べず、涙を飲むという事例がたくさんありました。

 

これは先ほど紹介した「成績評価のシステム」が原因となるものです。

 

不登校期間が長ければ長いほど、その間の学習内容を後から取り戻すことはできても、過去についた成績を取り戻すことはできません。

 

受験では当日点を取れたとしても、これまで取ってこなかった成績が受験スコアの足を引っ張ってしまうのです。

 

不登校期間から復帰をして、心から「この高校に行きたい」と望んだとしても、このように進路の幅が狭まってしまうということはあり得るのです。

 

 

不登校で勉強しなくてもなんとかなった例・ならなかった例

次に中学校生活で実際に担当をしていた不登校生徒の実例をもとに、

  • 不登校で勉強しなくてもなんとかなった例
  • 不登校で勉強しなくてなんとかならなかった例

に分けて紹介をしていきます。

 

夢が決まっていなかったけれどとりあえず定時制に行ったA

最初に紹介するのは、夢が決まっていなかったけれどとりあえず定時制に行ったA君という少年の実例です。

 

このA君は中学2年生1学期から欠席が増えだして3学期には完全に不登校、家では寝ているか、インターネットでゲームもしくはチャットなどをしている生活を送っていました。

 

欠席の理由は本人いわく「学校よりもゲームをしている方が楽しいから」ということでしたが、不登校である状態に漠然とした進路面での不安を持っていたということは伝わってきました。

 

勉強をしなければならないという気持ちは持ちながらも、「勉強がどのように将来に役立つのか」ということは分からず、ゲームなどの面白いことの方が優先順位が優ってしまう状態でした。

 

私としては勉強をする意味を分かっていないA君に「勉強をしなさい」と言ってもただ苦痛やプレッシャーになるだけだと考え、勉強をする気になったら一緒に勉強をしようと考えていました。

 

そのため毎日、A君とはケータイを使って今日あったことを話したり、週に1回から2回は顔を合わせたりして話をするといったようなことをしていました。

 

そんなA君が私に勉強をしようかと相談してきたのが3年生2学期の10月ごろでした。

 

この時期になると3年生は進路希望調査を行ったり、オープンスクールが夏にあったりと何かと高校進学という進路について意識するようなことが増えていきます。

 

それに触発されたA君も高校にはやはり行きたいと考えたのか、勉強を始めました。

 

しかし勉強へのモチベーションはすぐになくなってしまい、ゲームに走ってしまいます。

 

これまで勉強をしてこなかったことが要因となり、

  • 自主学習の仕方
  • 勉強をどこから始めればいいのか
  • 勉強の仕方はあっているのか
  • そもそも自分は希望の進路を叶えることができるのか
  • いまさら勉強をして間に合うのか

などの不安なことや不明なことにさいなまれて、学習を続ける気力を失ってしまったのです。

 

結果的に私に「勉強をしようか」と相談をした3年生2学期10月から、ほとんど勉強をすることができず私立高校の受験・公立高校の中期選抜ともに不合格をし、後期選抜で定員割れを起こしていた地元の定時制高校に合格をしました。

 

しかし彼は結論から言うと高校1年生1学期の後半で再び不登校となってしまい、そのまま中退をしてしまうことになります。

 

その後、A君と話す機会があったためストレートに「なぜ高校は続かなかったの?」と尋ねると、「高校には行くものだと思っていたからとりあえず行ったけど、やっぱり勉強は楽しくなかった」という言葉が返ってきました。

 

これはA君のような不登校生徒だけではなく普通に学校に通っている生徒も同じなのですが、学びたいことがあるから高校に行くということではなく高校には行くべきだから高校に行くという人がとても多いのです。

 

この原因は明らかに学校を含めた周囲の環境です。

学歴社会という言葉はもはや使い古された言葉ですが、周囲の大人が「とりあえず高校ぐらいは出て」という言葉でしか勉強に対するアプローチをすることができていないことによって起こる現象がA君の実例です。

 

社会経験がない中学生に対して「とりあえず高校は出ないとやっていけないよ」と周りの大人に言われて「いや、高校に行かなくても大丈夫」と思える子供はいません。

 

確かに高校を出なければ就職が難しいということは事実ですが、この勉強へのアプローチは明らかに勉強をすることへのモチベーションを下げ、勉強をすることの意味を不明確にしています。

 

A君が「勉強は楽しくなかったから高校は辞めた」という言葉は、ある意味で「とりあえず高校は出ないとやっていけないよ」という言葉掛けが間違いであるということを証明しています。

 

もしA君が勉強をする目的を先に見つけていれば、勉強は楽しくなくても頑張って定時制高校を卒業していたかもしれません。

 

 

 

夢が決まっていなかったから中卒で働き始めることを決めたB

次に紹介するのは、夢が決まっていなかったから中卒で働き始めることを決めたB君という少年の実例です。

 

B君は小学校からいわゆる「不良」のレッテルを貼られている少年で、中学校1年生の初期の頃は学校に通ってはいましたが、上級生でほぼ学校に来ていない非行をする少年と行動をともにするようになってからは学校にもほとんど来なくなりました。

 

そのような状態ですからもちろん勉強をするということはなく、家にも帰らない、非行に走り警察に補導されることが積み重なり、最終的には中学校3年生の11月ごろに少年鑑別所に行くことになってしまいました。

 

少年鑑別所を出たのが中学校3年生の12月末、2学期が終わる頃でした。

B君は鑑別所の後の家庭裁判所で保護観察処分を受け、規則正しい生活、つまり毎日学校に行き、放課後はまっすぐ家に帰って、夜は出歩かないという生活を送ることを命じられました。

 

そのような生活で問題行動はかなり減りましたが、それで勉強をするようになったかというとそうでもなく、ただ茫然と毎日を過ごすといった生活を送ることとなりました。

 

小学校からまともに勉強をしておらず、中学校の1年生からは授業にしっかりと出た経験もほとんど持たないB君にとっては、規則正しく生活を送るというだけでも精一杯だったはずです。

 

そのような状態で高校進学を見据えて勉強をしようという気持ちにもならなかったでしょうし、本人としては「なぜ高校に行かなければならないのか」という気持ちを持っているということを教えてくれました。

 

将来的にやりたいことも決まっていない、勉強をしたからといって将来が切り開けるとも思わない、それなら中学校を卒業して働いた方がいいといった気持ちを持っていたB君は先輩の紹介で自らの手で働き口を探して来ました。

 

それからというものB君は少しずつ様子が変わり始めました。

 

その見つけて来た仕事は建設業関連の仕事だったのですが、まず体育の授業に積極的に参加をするようになりました。

 

本人いわく「中学校を卒業したら体力がいるようになるから」ということでした。

 

次に数学を勉強し始めました。本人なりに建設業のことを調べているうちに宮大工になりたいと考え始め、宮大工として活躍するにはある程度、数学を勉強しなければならないんだと考え始めたと言います。

 

B君の保護者も「Bの生活が変わった」「毎日勉強したことや将来的なことを話してくれるようになった」と家庭での変化を語ってくれました。

 

その時、私が学んだのは「勉強が目的であってはいけない。勉強は手段でなければいけない。」ということです。

 

先ほど紹介したA君と、今回のB君の違いはそこにあります。

 

「勉強はしないといけないものだから勉強をするのだ」という捉えのA君と、「やりたいことがあるから勉強をするのだ」という捉えのB君では勉強へのモチベーションは明らかに後者の方が高いです。

 

不登校で勉強をしていないということは、勉強をしなければならないと感じるほど、やりたいことが見つかっていないということと同じです。

 

私たち大人が勉強をしていない不登校の子どもにしてあげられるサポートは、「勉強をしなさい」「高校ぐらいは出なさい」という声かけではなく、やりたいことを見つけられるようなサポートや、勉強はやりたいことを叶えるための手段なんだという価値観を教えてあげることではないでしょうか。

 

夢が決まっていたC

最後に紹介する事例は夢が決まっていたCさんという少女についての実例です。

 

Cさんは中学生1年生の2学期以降、ほとんど学校に通わなくなりました。

 

もともと起立性調節障害を抱えていたCさんは生活を規則正しく送ることができず、夜眠れず朝起きれないという生活が続いていました。

 

朝起きれない生活はそのまま学校生活にも影響し、昼からの登校をしていた時期もありましたが小学校とは違う環境からか徐々に半日の登校をする日も減って行きました。

 

家ではもっぱら昼過ぎに起きて、好きなイラスト描きをして1日を過ごしていました。

 

学校の勉強はほとんどしておらず、テストの追試も受けていなかったため成績はほとんどの教科で1でしたが、夏休みなどの美術作品と冬休みの書道、書き初め作品だけは中学3年生になるまで欠かさずに出すことができていました。

 

中学校3年生になった頃にCさんとその親御様と私で三者面談をしたときに進路についての話し合いをしました。

 

そのときCさんは「美術科のある私立高校に行きたい」と言いました。確かにCさんはイラストを描く技術は大人の目からしても割と高くイラスト制作への意欲もあったため、普通科よりも美術科の方が向いていると感じました。

 

しかし美術科の私立高校といってもただイラストが上手に描ければいいのかというとそういうわけではなく、国語・数学・英語の3教科を受験する必要があるのです。

 

国語・数学・英語はもちろんのこと、美術以外の教科に関してはほとんど中学校に入って以来、勉強をしていないCさんとしてはこの3教科の受験がとてもネックになりました。

 

ただ私が勤務していた都道府県の場合には、教育相談と呼ばれるシステムがあります。

 

このシステムを簡単に説明すると、

  • 私立高校の事前受験システム
  • 受験当日に普段の力を発揮できない可能性がある生徒が対象
  • 行われる時期は11月〜1月初旬
  • 事前受験に合格しても当日に一定の点数を取れなければ不合格もあり得る
  • 事前受験に合格した際には「毎日ノート1ページの勉強を受験日まで続け、受験日に提出すること」などの条件が出される

といった内容のものです。

 

公立高校に合格することができるか分からない場合に私立高校の受験を滑り止めとして行うことがありますが、いわば滑り止めの滑り止めといったようなシステムなのです。

 

Cさんは美術科の私立高校に行くために11月初旬に行なった面談から1ヶ月半後の教育相談のシステムを利用して、美術科のある私立高校の受験に挑戦することを決めました。

 

それから1ヶ月半の間、Cさんは勉強を自分なりに頑張りました。

 

ご家庭の協力もあり家庭教師や通信教育、過去の受験問題冊子などの準備が行われ、過去問のスコアもかなり伸びていきました。

 

そして教育相談での事前受験に合格することができ、それから1日1ページの勉強が始まりました。

 

それまで国語・数学・英語を勉強することに抵抗感があったCさんでしたが、私立受験当日に点数を一定ラインで取れなければ合格できない、美術科に入れないという気持ちで勉強を続けていきました。

 

学校からはCさんの学習段階や美術科のある私立高校の受験問題のレベルに合わせた課題を出し、それをCさんがノートに解くということを2月10日の受験日まで毎日、継続することができました。

 

結果としてCさんは美術科のある高校に合格することができ、美術科に入学を果たしました。

 

先ほどのB君とはまた違うケースですが、やりたいことを叶えるための手段としての勉強であれば努力をすることができるというのは不登校の生徒であっても学校に登校している生徒であっても同じだということが分かります。

 

 

親は不登校の子どもにどのように向きあればいいのか

それでは不登校の子どもに対して親御様がどのように向き合っていけばいいのかについて話を進めていきます。

 

勉強を急かすべきか

「勉強はさせるべき」「勉強をしないと進路に繋がらない」といった考えを持っている親御様はとても多いです。

 

確かに先ほど紹介したB君やCさんの例で言えば、自分のやりたいことを叶えるために勉強が必要となることはあります。

 

しかし勉強を急かすべきではありません。

 

「なぜ勉強をするのか」という理由を子どもに説明ができるでしょうか。

 

  • 将来の可能性を広げるため
  • 高校に行くため
  • やらないといけないため
  • みんながやっているため
  • 仕事を見つけるため

 

色々な理由があるかもしれませんが、もし子どもがこの理由に対して

 

  • 将来のことよりも今が大事
  • 高校になんて行きたくない
  • なぜやらないといけないのか分からない
  • みんながやっているから自分もやらないといけないというのはおかしい
  • 仕事と勉強の関係が分からない

 

と考えている、もしくは反論されたとしたら返すべき言葉は見つかるでしょうか。

 

これに対して多くの大人が「まだ社会経験がないから分からない」「大人になったら分かる」などと返事をしてしまいがちですが、これでは子どもが本心から勉強が必要だとは考えないのです。

 

勉強は将来の夢を叶えるために必要という考え方は間違っていません。しかし学校の勉強だけが夢を叶えるための勉強ではないということももう一つの答えであるはずなのです。

 

近年ではYoutuberが小学生のなりたい職業の1位に選ばれるという現象が起きています。

 

Youtuberといえば、動画配信者の独自の見解を喋ったり、特技を流したり、誰もやっていないことに挑戦した動画を動画配信サイトに流して、その視聴数から得られる収益で生計を立てている人のことです。

 

これで現実的に一般的な成人の平均年収よりもお金を稼いでいる人もいるわけです。そういう意味ではYoutuberだって立派な職業なのです。

 

しかしYoutuberになるためには学校の勉強が必須というわけではありません。

本気でYoutberを目指す人に必要な勉強は動画編集技術や動画配信技術、もしくは動画視聴数を獲得することのできる特技や喋り方なのです。

 

Youtuberは極端な例だったかもしれません。

他にも現在プログラマーが人気の職業になっていますが、プログラマーになりたい人が必要な勉強は、国語・数学・社会・理科・英語ではなくプログラミングです。

 

そして子どもが自発的にプログラミングを勉強しようとするのは、プログラマーになりたいと自分が感じたときだけです。

 

だから学校の勉強も同じで、国語・数学・社会・理科・英語などの教科の勉強を自発的に子どもがするようになるのはそれらの教科の勉強が自分の将来のために必要だと感じたときだけなのです。

 

もうお気づきかもしれませんが、勉強が自分の将来のために必要だと感じるためにはまず子どもがやりたいことを見つけることが先決なのです。

 

どのようにすれば子どもがやりたいことを見つけられるでしょうか。それは他人が介入できることではありません。

 

そして多くの子どもは大人よりも「やりたいこと」を見つけることが得意です。

 

あとは周囲の大人が「やりたいこと」に没頭させる勇気を与えてあげるだけです。

 

先ほど紹介したA君は「やりたいこと」がゲームでした。

しかし周囲の大人がゲームの価値を認めず、「それよりも勉強しなさい」と勉強を急かしてしまいました。

 

やりたいことを我慢して、やりたくもない勉強を急かしたとしてもモチベーションが続くはずはありません。勉強は「やりたいこと」の延長線上であるべきだからです。

 

ゲームが好きならばそれを将来に繋げられるような道筋を示してあげるべきなのです。

例えば親御さん自身が、「大好きなゲームをただ買うんじゃなくて、作る過程から関われるって楽しくない?任天堂に就職する事を目標に考えてみたら?」などと具体的に考えてみましょう。

それを元に、モチベーションを上げる言葉で話してあげるのです。

 

子どもが好きなことを我慢して旧来、「するべき」と言われてきたものを優先させるべきではありません。

 

まずは子どものやりたいことを認めてあげる、やりたいことを思い切りやれるように応援してあげる。これが不登校の子どもに対して向き合う際に必要な親御様の姿勢です。

 

子どもを1つの人格として認める

先ほどの「勉強を急かすべきか」という話にも繋がりますが、まずは子どもにも1つの人格があるということを認めてあげることが大切です。

 

子どもが不登校であるということには、本人も理解していないかもしれませんが何かしらの理由があるものです。

 

その理由を抜かして、

  • 勉強をしないといけない
  • やりたいことばかりやってたらいけない
  • 学校には行かないといけない
  • 高校には行かないといけない

というのは子どもの意思を置き去りにしてしまっています。

 

ちなみに

  • 勉強をしないといけない
  • やりたいことばかりやってたらいけない
  • 学校には行かないといけない
  • 高校・大学には進学しないといけない

という言葉は学校の教師であっても子どもにいう人がいるのですが、これは比較基準を大多数の子どもに合わせているからこそ出る発言です。

 

つまりその子ども個人のことを見ての発言ではないのです。

 

学校に行かず不登校である子どもに、もし他の子どもにはないような悩みや課題があったとすれば「他の子どもと同じようにしなさい」ということの辛さはとても大きいものなのです。

 

私は勉強をする理由として「将来的にその子どもが仕事を通して幸せになるため」だと考えています。

 

幸せというと抽象的に聞こえるかもしれませんが、具体的に仕事における幸せといえば

 

  • その人がやりたいことを思い切りできていること
  • その人が得意なことを思い切りできていること
  • 仕事などのやっていることにやりがいを感じていること
  • 仕事を通して誰かの役に立っていること

 

の4点だとこれまでの教師経験の中で生徒や親御様に伝えてきました。

 

少なくともみんなと同じように進学して、みんなと同じように就職して、辛くても辞職しづらい雰囲気がある日本で我慢しながら働くといった未来になることのないように、指導をしてきたつもりです。

 

勉強をしないといけない、やりたいことばかりやってたらいけない、学校には行かないといけない、高校・大学には進学しないといけないといった周囲に合わせた指導は「みんなと同じことをしなさい」という言葉として子どもに伝わっています。

 

その言葉掛けではいくら心配な気持ちがあっても子どもには「自分の人格を認めてくれない」という思いを抱かせてしまいます。

 

不登校で勉強をしない状況が長く続けば親御様も不安になるかもしれません。しかし将来をなんとか切り開きたいという気持ちは子どもの方が確実に強く持っています。

 

その気持ちを信じてあげてください。そしてやりたいことが見つかればそれがどんなことであろうと応援をしてあげてください。やりたいことに繋げるための道筋を示してあげてください。

 

勉強へどのように導くか

勉強とはやりたいことを叶えるための手段と捉えてください。

 

つまりやりたいことがなければ、手段としての勉強も成り立たないということです。

 

勉強に導くためにはまず「目標や夢、やりたいこと」を子どもが見つけることが大切です。

 

そのため「勉強に導く」というよりかは「子どもがやりたいことを見つけるきっかけ作り」や「子どもがやりたいことを見つけたときに応援してあげられる気持ち」を親御様が持ってあげられれば良いでしょう。

 

では「子どもがやりたいことを見つけるきっかけ作り」や「子どもがやりたいことを見つけたときに応援してあげられる気持ち」とは具体的にどのようなものかを見ていきましょう。

子どもがやりたいことを見つけるきっかけ作り

子どもが自発的にやりたいことを見つければ素晴らしいことですが、不登校の子どもは家にこもりがちになるので、やりたいこと・興味があることを外から見つけ出せるような工夫ができれば理想的です。

 

例えば

  • 一緒に旅行に行く
  • 映画や美術館、博物館などに行く
  • 農業体験やホームステイなどの体験をさせてみる
  • 料理教室や何かの体験教室に参加してみる

といったような体験に誘ってみるといいでしょう。

 

どのような体験から子どもがやりたいことを見つけるかはわかりませんし、興味を持つタイミングもその体験の直後ではないかもしれません。

 

しかしいろいろな体験をすることは無駄なことではありません。なぜなら子ども自身が自分の好き・嫌い、得意・不得意を理解することができるからです。

 

やりたいことは往々にして得意なことであることが多いです。

 

不登校の子どもは自信を失っていることも多いため、得意なことを見つけることで再び自信を取り戻すことができる可能性もあります。

 

得意なこと、やりたいことが見つかれば子どもはいい方向に変わります。自信を取り戻し、色々なことに挑戦できるようになります。

 

その第一歩を作るきっかけを子ども一人でできないときには、親御様に協力してほしいと思います。

 

子どもがやりたいことを見つけたときに応援してあげられる気持ち

先ほど紹介したCさんのご家庭はCさんのイラスト制作や、美術科の私立高校に行きたいということに対してとても協力的でした。

 

学校に行かずにイラストを描くことに熱中していたCさんに対して、特に「学校に行かせたい」ということも「勉強をさせたい」ということも直接は言わず(気持ちはとてもあったと思います)、できるだけ娘の熱中していることに水を差さないように気をつけておられました。

 

もし不登校で勉強をしていない子どもが何かをやりたいという意思を見せた場合にはそれを応援してあげて欲しいと思います。

その気持ちを否定すると無気力になってしまう可能性があるからです。

「勉強もしたくないし、やりたいこともさせてもらえない」という気持ちになってしまった場合には何もやらない人になってしまいます。自分の意思で能動的に何かを選び取るということをしなくなってしまうからです。

 

趣味も勉強も将来につながる可能性でいえば同じ価値だと捉え、やりたいことを応援してあげてください。

 

どのようにコミュニケーションを取るべきか

これはどの子どもでも同じなのですが、不登校や非行を行う子どもにこそ通常通り接するということが大切です。

 

アドラー心理学という心理学の中に目的論という理論があります。

 

普通、泣いて暴れる子どもがいた場合には「何か思い通りにいかないことがあって怒っているのだろう」と考えます。これを原因論と言います。

 

一方でアドラー心理学の目的論では、「自分の目的を叶える(例えばお菓子を買ってもらうなど)ために泣いて暴れて相手にアピールをしている」と考えます。

 

何かの目的があるからこそ、何かしらの行動を起こしていると考えるのが目的論です。

 

これを不登校の子どもの状況で考えるとすれば「何か辛いことがあって不登校になっている」と考えるのが原因論ですが、「不登校になることによって何かをアピールしようとしている」というのが目的論です。

 

不登校になることによってアピールしようとしていることとして多いのが、

 

  • 愛情不足で不登校になることによって身近な人からの注目を集め、心配をしてほしいと考えている。
  • 何かに挑戦することに自信がなく、不登校になることによって挑戦できない理由を自分に作っている。

 

などです。

前者の「愛情不足で不登校になることによって身近な人からの注目を集め、心配をしてほしいと考えている」子どもの場合には、心配して面倒を見れば見るほど不登校を続けようと思う気持ちが強くなります。

 

なぜなら不登校になることによって「周囲から注目してもらう、心配してもらう」という目的を果たすことができているからです。

 

後者の「何かに挑戦することに自信がなく、不登校になることによって挑戦できない理由を自分に作っている」子ども場合にも、「不登校だからできなくても仕方ないね」といった共感をすることでますます不登校の状態から抜け出すことができなくなります。

 

後者の場合には「不登校だからできなくても仕方がない」という共感よりも「できなくても私はあなたのことを認めている」という需要が大切です。

 

不登校のために特別に気を遣ったり、コミュニケーションを過剰に取ることでむしろ不登校であることの居心地の良さを与えてしまう場合があります。

 

それよりは「不登校であろうと不登校でなかろうと私はあなた自体を認めているから態度は変えない」といった気持ちでコミュニケーションも普段通りにするべきなのです。

 

まとめ「子どもはいるだけで価値がある」

今回の記事で何度も言い続けてきたことですが、親御様にしていただきたいことは勉強を急かすことでも、特別に心配することでも、周囲と合わせさせることでもなく不登校であってもなくてもその子ども自身を認めるということです。

 

子ども自身、これまで学校で「勉強はしければならない」と言われ続けれきているので「勉強はしなくてもいい」と考えている子どもはほとんどいません。その空気に息苦しくなった子どもが不登校となるケースが多いのです。

 

そのような状態の子どもに「勉強をしなさい」というのではなく、どんな状態でも認めてあげるという姿勢を示してあげることで、子どもは家に安心できるセーフティーネットワークを得ることができるのです。

 

親御様の立場からすると、不登校である状態も含めて認めるということは心配で難しいことかと思います。

 

しかしそれは少なからず子どもに何かを求めてしまっているということの現れなのです。

 

きっと子どもが生まれたときには、息をしていること、産声をあげること、体を動かすこと、それだけで良かったと感じていたはずです。そのときと同じ気持ちで親御様は子どものことを見てあげてほしいと思います。

 

「いるだけで価値がある」と心から思うことで、きっとどんな子どもの状態でも認めることができるはずです。

 

最後に私的な話になりますが、私が「いるだけで価値がある」と心から感じたエピソードを紹介したいと思います。

 

過去に私は心臓に病気を持っている生徒を担任したことがありました。

 

その生徒は病院にも定期的に通い、過度な運動は行わないようにしていました。しかしある日発作が起こってしまい、病院に救急搬送されました。

 

その知らせを聞いた私は病院に駆けつけ親御様と一緒にその生徒を見守りました。

 

気を失っていたその生徒は数日間意識を取り戻しませんでしたが、私がたまたま見舞いに行ったその日に手をピクリと動かしました。

 

私は手を動かしただけでかなり感動をし、同時に手を動かすことですら尊いことであるのにそれ以上に求めることなどあるのだろうかと考えました。

 

「勉強をしなければならない、いい学校に行かなければならない、いい企業に行かなければならない」

 

このような願いも、生死の境をさまよっている生徒1人の前では全くの無意味です。

 

「ただそこにいればそれでいい」という感覚はこの生徒から学んだものです。

 

もしお子様が現状、健康であったとしてもそれは同じです。

存在自体を認めてあげること、生きていること自体をありがたいと思ってあげることが、その子ども自体を受容することです。

 

そのような気持ちで子どもを応援してあげることで、きっと子ども自身の力で未来を切り開くことができるはずです。

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